【キャンプ】2019年5月 新治ファミリーランドで初テン泊&赤谷湖の鯉のぼり
プロローグ
新時代の幕開けが祝賀を以て迎えられる中、我が家の令和は新治ファミリーランドというキャンプ場施設のテント泊で始まりました。
当施設は群馬県猿ヶ京温泉にある埼玉県さいたま市の保養施設です。市外在住者の方の利用も可能であり、キャンプ場としては珍しく立派な温泉があるので、我が家はこれまで当施設のコテージやバンガローを利用してゆるいアウトドアを楽しんでいました。
しかし、テント泊への憧れもまた絶ちがたく、子供たちがまだ一緒に旅行に付いてきてくれるうちに一度試してみようと意を決し、今回テントをレンタルしてオートキャンプをやってみることになりました。
当日は8時過ぎに自宅を出発。
高速道路の渋滞情報では私たちの利用ルートの渋滞を告げてはいなかったものの、近くの一般道から見える高速道の車の流れは遅く、情報よりも渋滞が延びているのではという懸念から、今回は一般道のルートを選択しました。
国道17号を延々と北上するルートですが、流れは思ったより順調なのでほっと一息。
それよりも、最大の気懸りは天気のことでした。
予報は雨で、当日は夕方頃まで降り続くとのことでしたが、未だに辛うじて持ち堪えています。
しかし、道中の車窓越しに眺める赤城山の頂のはるか下で、白綿に薄墨を混ぜたような色の雲がかかり、憂鬱な乳白色の広大な天蓋が、予報をほぼ確実に実現させるであろうことを予想させます。
永井食堂
ところで、今回は一般道を選択して良かったと思う出来事がありました。
国道17号を北上する途中に永井食堂というお店があり、かなりの賑わいを見せています。
これまで我が家は高速道路を利用していたため気が付きませんでしたが、もつ煮でかなり有名なお店のようです。
10連休中は食堂の営業はないようでしたが、隣接する建物でお土産用のもつ煮パックの販売を行っていて、お客さまが列を成す盛況だったので我が家も1パック購入しました。
あわよくばキャンプ中に試食したいと思ったのですが、結果としては帰宅後に自宅で賞味し、その濃厚な食味に感嘆しました。また次回も是非味わいたいなと思っています。
キャンプについて
その後、いつも通りフレッセイ沼田恩田店で食材調達しました。キャンプでは食材やお酒を選ぶ際につい財布のひもが緩みがちになります。
13:00のチェックイン開始に合わせるように現地に到着しましたが、雨は既に降り始めています。
受け取ったレンタルのテントと銀マットをなるべく濡らさないように手早く車に積み、今回予約したオートキャンプ用のサイトへ向かいます。
雨の降り方は断続的で、テント設営開始時の雨足はかなり弱まっていました。
この時点では、手際よく作業を完了出来ればあまり辛い思いをせずに済みそうだと我が身の強運に感謝したいくらい心の余裕がありました。
しかし、初めてのテントを取扱説明書を見ながら手際よく組み立てるというのは、実はかなり難度の高い作業だということがよく分かりました。
他のサイトではスタイリッシュなテントが次々と組み上がっていきます。一方で私の作業が一向に進捗を見せないので、家族の顔が不安に曇ってゆくのが分かります。当初の思惑とは裏腹に、なかなかに辛い状況となりました。
取扱説明書を読むのはなかなかに難しいてす。教科書を読めない子供達を嘲笑する気にはとてもなれず、自分も東ロボくんには絶対に勝てないななどと場違いな思考が頭をもたげる始末でした。
雨足の強まる中、それでも30分程かかってようやくポールを立ち上げました。
しかし、ポールに被せるフライシートの向きなど、この先の手順がよく分かりません。
途方に暮れていたところを、近くのサイトにいた常連のベテランキャンパーの方に助けていただくという幸運に恵まれ、何とかテント設営を完了しました。
テント入口の前方に、いつもは川遊びで使用している自立式タープを配置し、一応リビングに見立てます。これで何となく格好は付いたでしょうか。
しかし、ほっとしたのも束の間でした。フライシートのテント入口付近の天蓋部分に小さな穴がいくつか空いていて、そこからテント内に細糸を引くように水滴が滴り落ちて来ます。
慌てて車に積んであったガムテープで穴を塞ごうと試みますが、思ったより多くの箇所に穴が空いていることが分かると、ひとつひとつ塞いでいく気力が失せてしまいました。
咄嗟に思い付いたのが、たまたま車内に積んであった2.7m×2.7mのブルーシートを、フライシートの上に被せることでした。
被せたブルーシートの四隅のハトメにロープを結んでペグで固定します。
厚みのあるブルーシートの雨避け効果は抜群のようで、雨漏り問題を何とか解決することが出来ました。
それにしても、他のサイトの統一された色使いのテントやタープが絶妙に配置されたスタイリッシュな景観と比較すると、我が家のそれは何だかパッチワークのようです。
レンタルは便利ですが、殊にテントに関しては借りるまでその状態が分からないというのは窮地に陥る原因になり得るということが良く分かりました。
テント設営の作業がようやく落ち着いたのが15:00過ぎでした。
疲れたので、夕食を早めに終えて温泉に入ってさっさと寝ようということになりました。
調理は雨天に伴いタープの下で行うことを何となく想定していたので、限定されたスペースの中で炭火焼が出来るようにかなり小さめのグリルを持参しました。
テントの設営で力尽きた私は火起こしと調理を家族に任せ、買い込んだお酒に酔いながら、焼き上がる肉や魚介をいただきます。
いろいろ大変でしたが、労苦はこの至福の前には色褪せてゆきます。やっぱり来て良かったと思える刹那です。
上の子は私が持参したコッフェルの蓋をフライパンとして使用し、ベーコンを敷いた上に卵を割り入れて目玉焼きを作ったり、キャベツとベーコンとニンニクを刻んで野菜炒めを作ったりしていました。
既に雨の止んだ山間は夕日を見ることなく紫紺の闇に包まれ、熾火となった白炭が内部に仄赤い熱を透かして輝いています。
しかし、熾火の静かな佇まいは子供たちには物足りないようで、見かけの勇ましい炎を見るために、白炭の上に焚き付けの薄木をくべて遊びはじめました。
果たして子供達はいとも簡単に炎を出現せしめていますが、私はというと、時折木が爆ぜて舞い上がる火の粉がタープに燃え移りはしないかと気が気ではありませんでした。
使用機会が乏しくほぼ新品同様だったコッフェルは、熾火の熱と薄木の燃える炎に炙られて煤け、ベテランキャンパーの使い込まれた道具であるかのような外観に変貌を遂げました。
PRIMUS (プリムス) ライテックトレックケトル&パン
食材も尽きたので残りの炭を炭壺に収めるなどして後片付けをします。
ようやく寛ぎの湯浴みです。洗い場で体全体に纏わり付いた炭の香を洗い流した後、露天の清潔感ある石造りの湯船にしばし体を横たえます。
この頃は子供達に幾分かの落ち着きが出て来て大人しくしてくれているので、ようやく私もゆっくりと温泉に浸かれるようになりました。
20時過ぎには就寝の準備が整いました。レンタルした銀マットの上に、持参した折り畳み式で凹凸のあるクッションマットを敷き詰め、以前購入した使用可能温度が0℃の封筒型シュラフに潜り込みます。
シュラフが封筒型のため、肩口からの冷気が心配でナイトウェアは裏起毛の防寒ウェアを着用しましたが、この日はこの装備で快適に眠ることが出来ました。
赤谷湖畔
2日目。晴天に恵まれた5月の赤谷湖には風光明媚という言葉がよく似合います。この湖は相俣ダム建設に伴って出来たダム湖だそうです。
釣りをする身として気になるのはこの湖で魚が釣れるのかということですが、他の方のブログ記事等を拝見するとボート釣りで鯉や鮒、イワナやサクラマスなどが狙えるようです。しかし、当日はやや風が強く、私が見た限りではボートに乗っている人はいませんでした。
端午の節句に向け、清澄な青空とまだ若葉の芽吹疎らな山間の木々の濃緑と茶色を背にし、青翡翠の湖上に渉る透明な風の急流を夥しい数の鯉のぼりが泳ぐ様はなかなかに壮観でした。
西川河川広場
赤谷湖に注ぐ西川で、遙か昔に友人と釣行した際にヤマメを釣った記憶があります。
そんな思いもあってか、赤谷湖畔の案内板にあった西川河川広場に最後に寄ってみることにしました。
既に閉館した猿ヶ京温泉テルメ国境という建物を目印に国道から細い道に入ります。
落石を心配しつつ川に向かって静かに車を進めていくと、一軒のペンションが右手に見えました。その手前の道を左に降りて行くと、そこが目的の西川河川広場の駐車場でした。
駐車場に隣接して整備されたグラウンドがありました。この場所は学校の部活動やサークルの合宿などで使われているようです。
駐車場の直ぐ前方を西川が流れています。
川岸に立つ若木の黄緑や、開豁な流れに形成される落込や早瀬に立つ白泡の飛沫が柔らかな陽光に煌めく様は、爽やかな初夏の趣でした。
この景色にじっとしていることは出来ませんでした。
今回の旅行は釣りが目的ではありませんが、車にはテンカラ竿が積んであります。
仕掛けをさっと準備し、キャンプ作業時に使っていた黒いゴム長靴を履いて川に降り立ちます。
始めは足を濡らすつもりはありませんでしたが、対岸に好ポイントを見付けると自制出来なくなり、長靴の丈より深い流れに足を沈めながら歩を進め、膝下ほどの深さのある場所に立ち位置を決め、ポイント目掛けて毛鉤を送り込みます。
十投程試みるも魚の反応はありませんでした。しかし、気合を入れた釣行でも大して釣れない私は、今回は軽装で渓の雰囲気を味わえただけで満足です。
エピローグ
それが何であれ、出来なかったことが出来るようになるというのは嬉しいものです。テント泊は概ね家族には好評だったので、次はテントを購入してもいいかなと感じました。
一方で、成長した子供達の姿を見るにつけ、今の家族の時間も無尽蔵にあるわけではないということが明確に意識されました。
あと何年こうしていられるのか分かりませんので、後悔しなくていいように丁寧に現在を紡いで行きたいと感じた旅行でした。
(おわり)