【渓流釣り】2018年6月 駅近のクライミングジムを沢登りの練習に使えるか試してみた
プロローグ
6月29日、気象庁より関東甲信地方が過去最も早く梅雨明けしたとみられるとの発表がありました。早くも酷暑や水不足が懸念されているようです。
春に渓流釣り目的のクライミング教室に参加してからだいぶ時間が経ってしまい、また、友人との都合が合わず今シーズンは未だに釣行出来ていません。
せっかく秀山荘でロープ等を買い、結びの練習をしていたのも束の間、「今日くらいやらなくてもいいか」が続いてそのうち全くやらなくなり、学んだことを綺麗に忘れてしまいました。
独学は強い意志がないと続かないものだなと思いつつ、リカバリーの方法として考えたのが、駅の近くのクライミングジムを利用することです。
ウィンドウショッピングがてら、とある登山用品店に行ったおり、「ビレイ講習会 2200円」なるチラシが目に留まりました。
通常2名1組で申し込むようなのですが、お一人様でもご相談下さいとのことでしたので、これは復習に使えるのではと考え、さっそく参加を決めて予約しました。
ビレイ講習会概要
当日の服装は上下ジャージです。そのまま電車に乗って会場まで行きました。服装に無頓着になっているのは老化の兆しでしょうか?
料金は当日に受付で支払います。総費用は2200円では収まらず、入会金1500円、クライミングエリア利用料として1日券2100円、用具レンタル料100円を支払い、合計7000円でした。
入会金や用具レンタル料を支払うと、結構な額になりましたが、前回よりはコストの絶対額は幾分抑えられています。ただ、1時間当たりで計算すると、「かえって高いかも」という気がしなくもありません。
会場に行ってみると、カラフルな人工のクライミングウォールがそびえています。高さは13メートルあるそうです。
今流行りのボルダリングの練習をしている方たちがいました。
余談ですが、ボルダリングを含むスポーツクライミングは東京オリンピックの正式種目に採用され、男女とも日本人選手の活躍が期待されているようです。
先日テレビでボルダリングのワールドカップを観ましたが、選手の皆さんはバランス良く筋肉が発達した理想体型です。筋力が弱くて体が重い自分には全く向かないスポーツだと思いました。
ボルダリングのルールは、カラフルなホールドと呼ばれる突起物を配した壁を登り、トップホールドを両手で触り安定した姿勢を取ると完登とみなされます。順位は基本的に完登した壁の数で決まるとのことです。
私はボルダリングがやりたいわけではなく、初心な渓流魚がいる領域に安全に辿り着くためにクライミングの技術があると良いのではと考えているので、学びたいのはロープを使ったクライミングです。
今回の先生は、自分よりかなり若い先生です。いかにもスポーツクライマーという感じの爽やかな雰囲気の方でした。
渓流遡行で有効なクライミングテクニックは、ランニングビレイ(中間支点)を取りながら登って行く「リードクライミング」だという気がしますが、いきなりそこにはいけないようで、今回学ぶのは「トップロープ」という登攀技術についてでした。
基本的なこととして、スポーツクライミングはクライマー(登る人)とビレイヤー(ロープを持って確保する人)の共同作業です。
本格的に学ぼうとするなら、もう一人仲間に引き入れる必要がありそうですが、これは中々難しそうです。若い人ならSNSを駆使して簡単に見付けるのかな。
一瞬、子供が一番手っ取り早いかなと思いましたが、二人の体重差が30キロ以上あるとパートナーとしては適切ではないとのことでした。嫁はこういうの興味ないよな…。
講習会ではまず用具の説明を受けます。
ハーネスについて
最初にハーネスについてです。ハーネスは、墜落時の衝撃を太ももからお尻で受けるように設計された安全ベルトのことです。フリークライミングに使用するのは主にレッグループタイプです。以前私が秀山荘で購入したものは簡易ハーネスと呼ばれる沢登り用のタイプで、このクライミングジムでは使っていないとのこと。
ウエストベルトを緩みなく締め込み、太ももは手のひら一枚分程の余裕を持たせて装着するのがベストだそうです。
カラビナについて
次にカラビナです。カラビナは、支点にロープをかける際にその仲介をする、開閉部のついた金属製の輪のことです。
色々な種類があるようですが、今回用いるのはHMSカラビナという種類で、洋梨のような形状をしています。荷重方向が広く万能の形状で初心者におすすめらしいです。
私が秀山荘で購入したものと微妙に違うような気がします。私が購入したのはどうやら変D型(オフセットD型)(Asymmetrical “D” Shape)という種類のような気がしますが、正直に言ってHMSとの区別がつきません。これはアルファベットのDの片方が広く開口したような形状で、Asymmetrical(アシンメトリカル)とは、非対称の意味です。
HMSカラビナにはブロードエンドとナローエンドがあります。そのまんま、広い方と狭い方のことです。ゲートの開閉は利き手の親指と人差し指で行いますがこれが中々難しいと感じました。
ジムで使用したカラビナはねじ式の安全環が付いていましたが、沢登りではロックを忘れたり水に濡れて動かなくなったりすることがあるため、オートロック式安全環付きが良いと前回の先生の著書(複数の方との共著です)では紹介されていました。
ビレイディバイスについて
カラビナにはビレイディバイス(確保器)を装着します。ビレイディバイスとは、クライマーが墜落した時の衝撃を小さな力で止められるように設計された器具のことです。
沢登りでは一般的にエイト環を使うと覚えていたのですが、フリークライミングでは現在は推奨されていないようです。
使用したのは、私自身は初めて見たのですが、フリークライミングでは長年変わらぬ完成されたデザインのオーソドックスなチューブタイプのビレイディバイスでした。
ロープについて
ロープは、墜落の衝撃を吸収するためよく伸びるよう設計されているダイナミックロープを使います。1本で使うシングルロープと、2本で使うダブルロープやツインロープがあります。
講習ではシングルロープを使います。
沢登りにおいても岩場や滝の登攀の際はシングルロープを使うことが多いとのことですが、難易度の低い沢であればロープ不要の場合も多いようです。
私は今後まずはそういう沢に行くと思うので、秀山荘で勧めてくれた8㎜30㍍のツインロープくらいでまずは十分かなという気がしています。
結びについて
一通り道具の説明を受けた後、クライマーがハーネスをロープに結ぶ時に用いるフィギュアエイト(8の字結び)を教わります。
前回も結びを教わりましたが、教える人によって微妙に方法が違うので、自分にとってやりやすい方法でマスターすれば良さそうです。
ロープ操作練習について
次に、カラビナにビレイディバイスをセットし、さらにディバイスのハイフリクションモードというギザギザのついている側にロープをセットします。この時、ロープはクライマーにつながっているほうが上、ビレイヤーが利き手でつかむほうが下となるようにセットします。
まずはビレイヤーがロープを手繰る操作を練習します。これは、クライマーが登ることによって生じるロープのたるみを取るために行います。ロープの摩擦熱から手を保護するため、ビレイグローブを装着します。
手順は以下の通りです。
①利き手と反対側の手(ガイドハンド)でクライマー側のロープを手繰り寄せる
②利き手(ブレーキハンド)ロープを下に引っ張る
③ビレイディバイスとブレーキハンドの距離が開くので、ガイドハンドでビレイディバイスの直下のロープを握る
④ブレーキハンドをガイドハンドの下へ持って行き、当該部分のロープを握る
①~④の操作を繰り返してロープを手繰っていく
これら一連の操作をスムーズに行えるように練習します。
クライマーにとってはロープを張りすぎても弛みすぎても登りにくいので、お互いに上手く連携を取ることが重要のようです。
トップロープ実技練習について
最後に二人一組となり、実際にトップロープでのクライミングを体験します。
まずは「BARK」をチェックします。「BARK」とは以下の通りです。
①B→バックル:
・折り返されているか
②A→アンカー:
(本来は「錨」の意味。転じて登山者やクライマーにとって安全を確保できる信頼性の高い支点のこと)
・メインロープでフィギュアエイト・オン・ア・バイトで接続
・カラビナのチェック
③R→ラッペル&ビレイディバイス
・クライマー側のロープがディバイスの上
・カラビナのスパイン側(開閉部の反対側)のスロット(穴)にロープを通す
・カラビナのブロードエンド側にディバイスをセット
・HMSカラビナのロック
④K→ノット:
・レッグループとウエストベルトのタイインループにロープを通す
・エイトノットにねじれ・ゆるみがないか
・末端処理と余長
「BARK」のチェックを終え、ビレイの準備が全て整った時、ビレイヤーはクライマーに「ビレイOKです」と声をかけます。
この後クライマーが登り始めます。ホールドの色によってルートが分けられていて、難易度が異なるようです。
私はクライミングウォールを登るのが初めての超初心者なので、先生からはどのホールドを使ってもいいのでとにかく上に登ってくださいと指示されました。
私が予想していた通り、腕力のわりに体が重く登攀は困難でしたが、何とかトップに辿り着きました。
ここで、「テンションお願いします」とか「張ってください」とビレイヤーにコールし、ロープを張ってもらいます。
ビレイヤー側では、テンションを十分にかけられたら、「テンションOKです」とクライマーにコールします。
ロワーダウン(ロープにぶら下がってビレイヤーに降ろしてもらう行為)するときは、クライマーは「降ろしてください」などとコールし、ビレイヤーは「降ろします」と返します。
ビレイヤーはロワーダウンの際、終了点の真下付近で肩もしくは背中を壁に向けて真っ直ぐに立ちます。
降下のスピードは速すぎない程度(秒速2㍍以下)にコントロールします。また、ブレーキをかける下側のロープ(ブレーキストランド)は両手で扱います。
以上が今回のビレイ講習会の内容でした。沢登りに応用可能な知識をまた少し蓄えることが出来たような気がします。
エピローグ
教わったことを復習する時間の確保が最大の課題です。
前回は橋桁で懸垂下降の練習を行いました。先生は、自宅近くで練習出来る所があるといいですねとおっしゃっていましたが、自宅近くには確かに橋はあるものの、住宅地の橋で懸垂下降などしようものなら直ぐに警察に通報されそうなので、さすがにそれはやらないでいました。
で、思いついたのが、自宅の梁にロープをかけて懸垂下降の練習をすることでした。我が家の梁は見た目はなかなかに頑丈そうで、人一人くらいならぶら下がってもびくともしなそうです。
試しに梁にロープをかけ、物置から引っ張り出してきた脚立の最上部に登り、そこからエイト環を使用して懸垂下降をしてみました。
やってみると、大した高さもないので恐怖心もなく、なかなか楽しいです。これはいい練習になります。
また、梁を利用して今回習ったロープの手繰りも練習できました。
我ながらいい思い付きだと思いましたが、いい大人が何をやってるんだという気がしないでもありません。それに、子供たちに見られると大変なことになりそうだな・・・。
(終わり)