【渓流釣り】2019年4月 渓流開幕 栃木・大谷川で本流テンカラ
プロローグ
今年も渓流初釣行の機会が巡ってきました。
近所に住む友人のサクラダさん(仮名)から連絡があり、栃木県の大谷川で大ヤマメを狙おうということになりました。
事前準備
釣技がまだまだ未熟な私にとって、春先の水温が低い時期の本流テンカラはとても難しいと感じます。
魚が水面で食餌しそうにないので、私が好んで行う、毛鉤を浮かせて釣るドライフライテンカラ(ドラテン)ではおそらく全く勝負にならないイメージです。
そのため、毛鉤を水中に沈めるべく、釣行前日にサンスイ池袋店でフライマテリアルとして販売している金色(パッケージには”copper”と書いてありましたが)のビーズヘッドを購入し、ウェイトとして使用します。
久々に毛鉤を自作します。#10のフライフックにビーズヘッドを装着し、レモンイエローのミシン糸を巻いて胴を作ります。
ハックル(羽根)はパートリッジ(うずら)を使います。
雑な仕上がりですが、ひとまず完成しました。
ビーズヘッド付きの毛鉤はこの1つとし、ビーズヘッドの代わりにボディにホビーワイヤーを巻き込んだ同型のパートリッジの毛鉤を他に2つ作り、合計3つの毛鉤を毛鉤ケースのラインアップに新たに加えて実釣に臨みます。
釣行当日
大人の遠足の足はいつも他人に頼り切り。当日もサクラダさんに車で自宅に迎えに来て頂きました。
当日は春らしい陽気で、サクラダさんが運転する車の助手席の窓越しに、桜の薄紅色や若葉の黄緑色が晴天によく映えているのを楽しむことが出来ました。
車を走らせること2時間ほどで、栃木県鬼怒川と大谷川の合流点付近に到着します。
桜の開花を促す陽気は渓流釣りへの期待を弥が上にも高めてくれます。
魚のご機嫌は別として、体感的には快適な釣りを楽しめそうです。
まずは近くの釣具店で日釣り1500円の遊漁券を購入しつつ情報収集です。
お店の方のお話によると、今年は暖かくてコンディションは良いとのこと。ポイントは合流点より下流の鬼怒川が良いとのことでした。
しかし、昨年大谷川上流でブラウントラウトを釣り上げたというサクラダさんは、今日は大谷川と決めているようでしたので、ポイント選びは全てお任せします。
最近のサクラダさんの釣り嗜好はエサ釣りによる淡水の大物狙いであり、テンカラは全く彼の興をそそらないようです。
一方、私は極めてシンプルな道具立てで、陽光のやわらかに降る渓を軽く水しぶきをきらめかせながら遡行し、自作の毛鉤でようやく掛けた小さな1匹に自らの技能の向上をみて法悦の境に入るという、開放性と閉鎖性が同居する趣の世界を好んでいます。
お互いの嗜好が違うので、狙うポイントがあまりかぶらないのが利点だなと思います。
私の竿はシマノ「渓流テンカラZL3.4-3.8」です。
扱いがやや難しいレベルラインをスムーズに飛ばすために6:4の胴調子に設計されています。竿のネジレやブレを抑えるシマノ独自の設計・製造方法である「スパイラルX」を採用していて、初心者でも短時間で狙ったポイントにスムーズに毛バリを打ち込めるようになると思います。
本流ではやや短いとは感じるものの、フィールドの大小でロッドを使い分ける金銭的余裕は全くありませんし、ラインの長さを調節することで対応は十分可能です。
様々な渓流域をこれ1本でカバー出来るとても良い竿だと思います。
シマノ(SHIMANO) ロッド 渓流 テンカラ ZL 34-38
レベルラインは2.5号のオレンジラインを使います。今まではサンスイのレモンイエロー3.5号を使っていましたが、細いラインの方が風の影響を受けにくいと最近買ったDVDで解説されていたので今回試してみることに。
ラインの長さはロッドより長めの4メートル、ハリスは0.6号を1メートルとし、前日に巻いたのビーズヘッドの毛鉤を接続します。
ロッドのリリアンとレベルライン、レベルラインとハリス、ハリスと毛鉤はそれぞれを全て投げ縄結びで接続します。テンカラ大王こと石垣尚男先生が推奨していたごくシンプルなラインシステムです。
ただ、開幕当初は投げ縄結びの結び方をほぼ忘れていますが。
まずは合流点付近で10:30頃から釣り始めます。
大場所で長竿を構えてエサ釣りをする友人を尻目に、私はポイントを求めて大谷川を少しばかり上流に遡行します。本流なのでポイントは無数にあります。
2.5号の細いラインを使うのは初めてなので、キャストの練習を兼ねていくつかのポイントに毛鉤を送り込みつつ、釣り上がって行きます。
何とかキャストが安定してきたところで、如何にも好ポイントという趣のブロック下の流れを視界に捉えたのでまたキャスト。
しかし、初投が狙いと違う方向に飛んでしまったため、毛鉤をピックアップしようとロッドを上げたところで、手元に明確な重みを感じました。
すると、次の瞬間に白い魚体が水面を割って出ました。
これは全く想像しておらず、はっきり言って偶然掛かっちゃったという感じでしたが、このギフトのような好機は是非我が物にしたいので、慎重に取り込みを行います。
上がってきたのは20センチ余りの綺麗な魚体のヤマメでした。
がっちりと銜え込んだ毛鉤の先に、ビーズヘッドの黄金(パッケージには”copper”と書いてありましたが)が眩い輝きを放っているように見えました。
エピローグ
結局は刹那の至福でした。
その後全く反応がないため、上流に行っていろは坂付近から釣り上がってみたり、下流に戻ってV字堰堤と呼ばれる大場所で粘ってみたりと試行を重ねるもノーフィッシュノーバイト。自称大物ハンターのサクラダさんの妙技も今回は不発です。
しかし、私にとっては春先に毛鉤で渓流魚を釣ったのが初めてなので、表向き悔しがりつつ密かに大満足の釣行でした。
(おわり)