【渓流釣り】2022年3月 大人の遠足 箱根早川C&Rでテンカラ釣り
プロローグ
今回は、箱根で泊まりがけの渓流釣りです。
ナカガワさんからサクラダさんと私に声が掛かり、3人での釣行となりました。
目指すフィールドは小田原市を流れる早川のC&R区間で、管轄は早川河川漁業協同組合です。
漁協のHPにもあるように、早川は平野部がほとんどなく、河口部からいきなり渓流の様相を呈する珍しい河川です。
ちなみに、小学校の音楽の教科書に載っていた唱歌「箱根山」の歌詞に出てくる「千仞の渓(せんじんのたに)」とは早川のことだったと知ってちょっと感動。遠く昭和の音楽室が脳裏に甦り、微かなノスタルジーを感じます。
県央道、東名道、小田原厚木道路と経由して現地へ。
当日は曇りで午後からの降雨が心配されるコンディション。何とか持ちこたえてくれると良いのですが…。
サクラダさんによれば、当日ははめったにない大開運日だそうで、きっといい思いが出来るに違いないとのこと。
(気になって後日調べたところ、一粒万倍日+天赦日+寅の日というなかなか貴重な日だったようです)
実釣前に良果を妄想するのも楽しみの一つです。
早川C&R区間
早川漁港の前にある小田原FBCさんで遊漁券(1300円)を購入し、さっそくポイントへ。
韓国人会館河川側奥(1日目)
すでに多くの釣り人で賑わっていました。
見たところフライフィッシングの方が多いようです。
ナカガワさんと私はテンカラ、サクラダさんはルアーで挑みます。
渓流なのに仄かに潮の香りが漂っているような気がしましたが、海から近いとはいえそれは勘違いかな・・・。
人気ある観光地が纏う調った明るい雰囲気の中、高揚した気分で、ボディに黄色のミシン糸を巻き付けた、こちらもなかなかに明るい雰囲気のビーズヘッド付きの自作毛バリをポイントに打ち込んでいきます。
川向こうでは、のどかな走行音を立てながら、ボディを青に統一した列車や、臙脂色のそれなどがゆっくりと通り過ぎ、豊かな色彩が目を楽しませてくれます。
が、早川の渓流魚たちはあまり歓迎ムードではないらしく、なかなか芳しい反応が得られません。
堰堤上からポイントを覗き込むと、渓流魚ではなく、大きな錦鯉が2匹、悠然と泳ぎ回っていました。
遊漁券の点検に訪れた漁協の方に状況をお伺いすると、朝マズメにフライで63㎝のニジマスが釣れていたとのことでした。
ただ、午前7時を過ぎてからはアタリが止まっていること、ルアーへの反応は芳しくなさそうであるともおっしゃっていました。
その方からおすすめのポイントの1つとして教えて頂いた、風祭橋上流へ移動。
風祭橋上流(1日目)
空は厚い雲で覆われているものの、天候は何とか持ちこたえてくれそうです。
風祭橋から魚道までの数百mほどの区間で竿を出しました。
結果的にはここが毛バリを使うナカガワさんと私にとっての当たりポイントでした。
ナカガワさんの釣っているほうに目をやると、彼のメインロッドである「天平テンカラ」が大きく撓んでいます。数分間の格闘ののち、単独でのキャッチに成功したようです。
ランディングネットには30㎝ほどのニジマスが収められていました。
そして、暫くの後またもやナカガワさんにヒット!
「またそっちか・・・」内心舌打ちしながら様子をうかがうと、何だかロッドの曲がり具合がさっきより大きいようです。
彼がやりとりに苦心している様子が見て取れ、これは単独でのキャッチは難しそうと判断。
私は釣りを中断し、タモ網を携えて急いでアシストに駆け付けます。
大きな岩の多い渓相で歩きにくいですが、そうも言っていられません。
掛かっていたのは先ほどよりも明らかに大きなニジマス。
流れの速い自然渓流に放たれたパワーあるニジマスは、ナカガワさんのロッドを大きく振り回しています。
しかし、先だって神流川C&R区間でハコスチの強烈な引きを体験済みのナカガワさんは、苦心しつつもまだどことなく余裕がありそう。
私がタモ網を構えて下流にポジショニングし、魚を誘導してもらいます。
眼前で暴れる良型のニジマスを、手にした小物用のタモ網で獲りきれるのか不安でしたが、運良くスムーズにネットインしてくれました。
ナカガワさんによるメジャーでの測定の結果は、体長38㎝でした。うらやましい・・・。
それにしても、この日の状況からルアーのサクラダさんが苦戦しているのは分かるとして、同じように毛バリで釣っている私に一向に魚信がないのはどうしてなのでしょうか?
その答えを自らの腕ではなく毛バリに求めた私は、ナカガワさんに毛バリを見せてもらうことに。
彼の毛バリは市販の逆さ毛バリだそうですが、ボディは黄色で私のものと大差ありません。
ただ、ハリの大きさがフライフックでいうところの#14程度と、#12を使っていた私よりも小さめでした。
テンカラ大王こと石垣尚男先生による教えに、「流れの速い日本の渓流においては毛バリの色や形はあまり関係がないものの、大きさは関係することがある」というものがあります。
この教えに照らして、「これまでの釣果の差は実力によるものではなく、毛バリの大きさの差である」と結論付けることにしました。
そんな私を憐れんだのか、ナカガワさんがヒットシーンでの毛バリの流し方の解説とともに当たりパターンの毛バリをくれると言うので、あくまでも自説の検証のため有難く頂戴することに。
ナカガワさんから頂いた毛バリを装着し、そしてちょっと悔しいですが流し方のイメージも彼に解説されたようにやってみました。すると・・・。
魚のフィードポイントの1つである瀬尻のあたりで微かな魚信があり、アワセると一発でフッキング!おいおいホントかよ!
すぐさま私のロッド「渓流テンカラ」が大きく撓み、次の瞬間大きくジャンプ!とても元気のよいニジマスです。
テンカラに関しては私のほうが先輩というミクロなプライドは木っ端微塵に打ち砕かれたものの、やっぱり魚は釣れるに越したことはありません。
数分のあいだ魚とのやりとりを堪能し、ナカガワさんにランディングネットでキャッチしていただきました。
ネットに収められていたのは30㎝ほどの綺麗なニジマス。上出来です。
行きの車中でサクラダさんが言っていた「大開運日」の話はあながち嘘ではなかったなと感じましたが、ここまでルアーで大苦戦のサクラダさんの顔は青ざめていたように見えました・・・。
そして釣果確認にやってきた彼が私に向かって放った一言は、「ウラギリモノ~!」
・・・ゴメンね。
私にとってはここが釣行のハイライト。しかし、ナカガワさんにとってのそれは、ここではありませんでした。
ライオン歯科前(2日目)
サクラダさんがエサ釣りにチェンジしたため、C&R区間の上流域に設定された魚の持ち帰り可能エリアでのエサ釣りが可能か漁協に問い合わせたところ、エサ釣り可能との回答とともに、ライオン歯科前で放流を行っている旨の情報をいただきました。
これはチャンスとばかりに喜び勇んで現地へ。
現地ではクーラーボックスを携えた多くの釣り人で賑わっていました。
・・・この雰囲気はどことなく去年の烏川釣行に似てるような・・・。
結果、微かな疑念は現実のものとなりました。
放流直後の魚はなかなか口を使わないものらしく、毛バリへの反応は芳しくありませんでした。ちなみにブドウ虫で挑んだサクラダさんも釣果ゼロ。
周囲ではイクラで釣っていた釣り人の方に成果が出ていたようでしたが、入れ食いという雰囲気でもありませんでした。
帰りの渋滞を避けるため、午前中で納竿とする予定ですので、釣れないポイントは早く見切る必要があります。
風祭橋上流(2日目)
釣行の締めくくりとして、前日に成果があった風祭橋上流へ。
申し訳なくもサクラダさんにはルアーに戻してもらい、3人が等間隔を取ったポジショニングで釣り開始。
すると、均衡を破ったのはまたしてもナカガワさんでした。
昨日のリピート映像をみているかのように、彼のロッドが大きく撓み、私を呼ぶ声がフィールドに響きます。
今回のナカガワさんは信じられないくらいツイているように見えます。それとも前日密かに魚を仕込んでいたのでは・・・。
くだらないことを考えつつ私は昨日と同じように急いで駆けつけ、下流にポジショニング。
暴れ回る元気な獲物がたまたま近くに寄ってきたため、これを一発で掬い取ることに成功。我ながら素晴らしいランディング。
もはや私は今回、魚釣りではなくて魚掬いに来たのではないかとすら思えます。
フレッシュな状態でキャッチされた大物の体長は43㎝でした。
ちなみに、遠くに佇むサクラダさんはもはやスプーンではなく匙を投げているようでした・・・。
エピローグ
賑わいのある観光地なので、食事に困ることはありませんでした。
1日目、昼食のため「麺庵ちとせ」さんを訪問。以前は新宿区曙橋の人気店だったようですが、2021年5月にこちらに移転したとのこと。
可能な限りシューズの泥は落としているとはいえ、ウェーダーでの入店はさすがに断られるかと思いましたが、快く許可して下さりほっと一息。
「らぁ麺煮玉子」を注文。上品にまとめられた完成度の高いラーメンを堪能しました。
ウェーダー姿で人気店のラーメンをすする。めったにない体験です。
そして、宿泊はナカガワさんに手配して頂いた「エクシブ箱根離宮」。
自分のイメージする渓流釣りの宿とは異なる豪奢な佇まいにやや気後れしながらも、ゆっくりとお酒と温泉を堪能しました。
鄙びた山奥も良いですが、こんな至れり尽くせりの釣り旅もまた良いものだなと思いました。
(おわり))