【管理釣り場】2025年10月 鹿島槍ガーデンをテンカラで攻めまさかの爆釣!
【プロローグ】
仲間内では「大物ハンター」の異名を欲しいままにする?サクラダさんと、日本屈指との誉れも高い管理釣り場である長野県の鹿島槍ガーデンに1泊2日の釣行です。
HPを拝見すると、かの有名な「王様」こと村田基さんが巨大なトラウトを抱えて微笑むカッコいいアイキャッチ画像とともに「おおきいことはいいことだ」とのキラーワードが踊っていました。
https://kashimayari-garden.com
王様はかねてより管理釣り場のイメージアップに係る活動をされているとのこと。
これはサクラダさんが釣られるのも無理はありません。
【1日目】
当日は早朝4:45に私の自宅に迎えに来てもらいました。
正直なところ集合時間早過ぎるだろと思いましたが、それだけにこの釣行に賭けるサクラダさんの並々ならぬ熱意が窺えます。
4時間ほどのドライブで9時前に現地に到着。
10月下旬の澄み切った空の下、鹿島槍ガーデンはまさに聖地の趣。時間はかかりましたが来て良かったと素直に思えます。

管理棟は想像していたよりも質素でしたが、とても感じの良い接客をしていただきました。
名簿に名前と住所を記入し、1日券を5500円で購入。
管理棟内には様々な写真が飾られていましたが、とりわけ目を引いたのは、音楽家の葉加瀬太郎さんと王様村田基さんのツーショットでした。
若かりし頃にクライズラー&カンパニーに衝撃を受けた自分にとって、葉加瀬さんは気になる存在です。
釣りがご趣味であることを初めて知り、何故か嬉しい気持ちになりました。
さて、肝心の釣りの方ですが、サクラダさんは王道のフライフィッシングです。
私には違いがよく分かりませんが、シングルハンドとダブルハンドの2種類のロッドで攻略を試みるようです。
一方、私の釣法はテンカラであり、管理釣り場の止水ではスレたトラウトに太刀打ち出来ないと覚悟していましたので、雰囲気が楽しめればそれで良いと思っていました。
斯くして、予想通りメインの2号池では私の毛鉤を咥える魚は皆無。
水面に浮かせた毛鉤に寄っては来るものの、直前でターン。明らかに見破られています。
しかし、予想通りとは言えさすがにこの状況は退屈なので、2号池の後方にある誰も入っていない3段プールの2段目に竿を出してみました。
すると、水面を漂うエルクヘアカディスにゆっくりと近付き、緩慢に毛鉤を咥える有り難いトラウトが1尾。
ちなみにこのエルクヘアカディスはサクラダさんがフライタイイングの練習で巻いた試作品をいただいたものですが、たいへん良い出来栄えのようです。
ドラテン(ドライフライテンカラ)の醍醐味は何と言っても「見て掛ける」ところにあります。
千載一遇の好機にしくじらないよう、「早過ぎず弱過ぎず」を意識してアワせたところ、首尾良くフッキング。
次の瞬間、竿が満月に撓りました。
細身のテンカラ竿で40㎝クラスのトラウトを獲るのはなかなかの大仕事です。
ラインの長さが調整可能なフライフィッシングと異なり、テンカラの場合は通常、仕掛けの長さがランディングネットで取り込み可能な範囲に限定されます。
管理釣り場の場合は長さをその最大値に合わせるわけですが、それだけに取り込みは困難を極めます。
手前に寄せて掬い取ろうとしても、トラウトの余力があるうちはなかなか届かずネットを躱されてしまいます。
数分の格闘ののち、漸く抵抗する余力を失った獲物をキャッチ。

自然渓流ではなかなかここまでのやり取りをすることはありません。
管理釣り場ならではの醍醐味を味わうことができ、これはサクラダさんが夢中になるのも無理はないと納得しました。
こうなると欲が出るもので、頭の中はもう一度あの引きを体験したいとの思いが溢れてきました。
自然渓流さながらの所作で姿勢を低く保ちながら、先ほどと同じ三段プールの二段目を攻めるべく外側の林からアプローチ。
すると、足場を探るべく岸の端を見る私の視界に、恐らくツキノワグマのものであろうと思われる大きな糞が飛び込んできました。

今般のクマ出没に関するニュースには痛ましい事案も含まれ、また、特にツキノワグマの行動特性が自分の認識とは異なってきているようでもあったため、一抹の不安を覚えましたが、多くの釣り人がいる鹿島槍ガーデンでまさか遭遇することはないだろうと高を括り釣りを続行。
結果、もう1尾を追加することが出来ました。しかし・・・。
時刻は16:00を過ぎやや薄暗くなった頃、ふと最下段のプールの排水口を見ると・・・。

・・・出ました、ツキノワグマが!
体長1メートルほどの成獣が1頭、魚を捕食しようとしているのか、水を飲もうとしているのかは不明ですが、水面を見つめている様子が目に入りました。
しかし、特に人間を目がけて近寄ってくる様子でもなかったため、静かにプールを離れ、2号池に戻りました。
サクラダさんにだけはクマが現れたことを耳打ちすると、怖いもの見たさは人間の性であるようで、クマを見たいとのこと。
そのため、恐る恐るクマの出現ポイントが見える地点まで彼を連れて戻りましたが、既にその姿は消えていました。
内心ホッとしたというのが正直な感想です。
その後、釣り人が少なくなった夕刻に、テンカラでも勝負になりそうな2号池の隅の流れ込みで1尾を追加。
1日目は3尾という結果でした。
私にとっては予想以上の釣果でしたので、十分に満足です。
今夜の宿は大町温泉にある「ねるだけ The hako」です。
イメージとしてはユースホステルに近いのでしょうか、割り当てられるのは二段ベッドの上下どちらかのスペースのみです。
ただし、施設の清潔感は抜群で、かつ宿泊客は隣接する温泉施設を無料で利用出来るのは大きなメリットです。
宿泊施設と温泉施設は専用の廊下でつながっており、行き来は容易です。
また、共用スペースには冷蔵庫と電子レンジが備え付けられています。

コンビニで冷凍パスタと冷凍あんかけ焼きそば、そして缶ビールや缶チューハイ、日本酒(銘柄は真澄、とても美味しい!)を買って持ち込み、共用スペースのテーブルでささやかな夕餉を楽しみました。
それにしても最近の冷凍食品のクオリティの高さには驚かされます。
いい感じに酔いも回ってあとは明日に備えて寝るだけという段になり、自分のベッドに戻って消灯。
今日の楽しかった出来事を脳内で反芻しつつ、心地良い眠りにつくはずでしたが・・・。
まさかの落とし穴が待っていました。
隣のベッドに宿泊していた方の鼾の爆音が凄かった・・・。
宿には耳栓も備え付けられていますが、それでどうにか出来るレベルではありませんでした。
恐らくは睡眠時無呼吸症候群と思われ、頭では仕方ないとは分かっているものの、当人は熟睡しているのに自分が全く眠れないという状況に直面し、心は穏やかならず悶々とした夜を過ごしました。
この手の宿泊施設は、コスパの良さと引き換えに安眠を犠牲にするリスクがあるのだなということを改めて認識しました。
【2日目】
ほぼ一睡も出来ない夜を過ごしましたが、逆に寝坊することなく行動開始。
朝のルーティーンを順調にこなし、6:30頃に鹿島槍ガーデンに到着。
営業開始は7:00ですが、当日は土曜日ということもあり、すでに多くのお客さまが集まっていました。
受付の順番待ちには管理棟の入口から順番にランディングネットを置いておくという不文律があるらしく、私たちもそれに習ってランディングネットを置いてしばし待機。順番は20番目くらいでしょうか。
7:00ちょうどに受付が始まり、私たちは7:30頃に入場することが出来ました。
昨日と比較するとお客さまはかなり多い状況です。
今日も大苦戦は必至だなと思いつつ、まずは3段プールと水路で繋がっている2号池の隅にポジショニング。
釣果が芳しくなければ、昨日は誰も興味を示していなかった3段プールに移れば良いかとの思惑でした。
しかし、平日の昨日とは異なり、3段プールを狙うお客さまもチラホラ。
思惑は完全に外れました・・・。
お客さまが多いので、ポイントを移動するとすぐに他の人に入られてしまうため、キープした最初のポイントを動くことが出来ません。
昨日と同じドラテンで臨んだ午前中は、1尾も掛けることが出来ませんでした。
サクラダさんも苦戦している様子。
しかし、コミュ力の高い彼は釣れているお客さまにアプローチして情報を得、その後コツコツと釣果を伸ばしていました。

ちなみにその方によると、当日のフライのヒットパターンはマラブーで、微少な変化も全てアワせているとのことだったようです。
結局私は釣果のないままお昼に。
管理棟で昼食のカレーヌードルをいただき、気を取り直して後半戦開始。
私もマラブーを投入してみたものの、状況は全く変わらず、徒に時が過ぎて行きます。
途中、後方の木の枝が突然激しく揺れ始めました。
またクマが出たかとドキリとしましたが、その正体は20匹ほどのサルでした。

クマも怖いですが、サルの群れもなかなかの威圧感です。
取り敢えず被害を被ることなく姿を消してくれたのでほっとしました。
刺激的な出来事はあったものの、肝心の釣りの方は完全に飽きてしまっていました。
仕方がないのでキャスティング練習でもするかと気持ちを切り替え、まるでメカのようにテンカラ竿を振って毛鉤をを水面に叩き付ける所作を繰り返していると・・・。
それが理由なのかは全く不明ですが、何故か夥しい数のトラウトが私が陣取る池の隅のポイントに集まって来ました!

ただし、警戒心は強く、ドライフライを咥える迂闊なトラウトは依然として皆無。
そこで、毛鉤をニンフにチェンジし、水中に沈めて微少な変化を全てアワせる作戦に変更。
すると、これが珍しく大当たりでした。
トラウトは水中ではすかさず毛鉤を咥えているようで、滅多にない入れ掛かり状態に!
恐らく1時間に満たない時間でしたが、10尾を手中に収め、竿を持つ手に乳酸がたまって痛くなるという、自分にとっては生涯最初で最後かもしれない経験をしました。

望外の釣果を得て満足した私は急に尿意をもよおし、トイレに向かって歩き出しました。すると・・・。
また出ました、ツキノワグマが!しかも3頭!
昨日と同じ3段プールの最下段の排水口に1頭、恐らくこの個体が母グマでしょう。
そしてその少し上流の林側の岸に子グマが2頭いました。
まさか2日連続でクマを目撃するとは全く予想していませんでした。
自分の脳内にはツキノワグマが積極的に人を襲うことはないとインプットされているため、若干の恐怖を感じつつも、10メートルも離れていない位置にいるクマを横目に見ながら無事トイレに到達。
少し安堵しながら用を足し、自分のポイントに戻ろうとすると、依然としてクマはそこにいました。
私以外にも何人か気付いたようでしたが、特に恐れる様子はありませんでしたので、ここではよくあることなんでしょうか?
意識して心の平静を保ちながらポイントに戻り、今日もクマが出たことをサクラダさんに耳打ちすると、昨日同様に見たいと言うので再び出没地点に案内。
すると、その姿はすでに消えていました。
彼は残念そうでしたが、クマには出会わないに越したことはありません。
帰り際に釣り場の従業員の若い男性とお話する機会があったのですが、クマは毎日のように出ているとのこと。
他にもサルやシカ、イノシシなど一通りの野生動物はいるそうです。
【エピローグ】
質素な食事で営業時間いっぱいまで釣りを続けたため、空腹感はピークに達していました。
サクラダさんコーディネートの旅のファイナルは、長野市の「公園のベンチ」さんでのディナーです。
https://tabelog.com/nagano/A2001/A200101/20001930
鹿島槍ガーデンからはそこそこ離れており、到着は19:00過ぎでした。
外装は洋食レストランらしくメルヘンチック。
店内はさらにメルヘンチックでした。
至るところに西洋人形が飾られ、まるでお伽の国に迷い込んだかのような趣です。
とても良い雰囲気なのですが、一方でアラフィーの男二人で入店するにはあまり似つかわしくないとも言えるほどのメルヘン。
多少の居心地の悪さを感じつつも、私たちの訪問時間にはお客さまが他に1組いらっしゃるだけだったのは幸運でした。
1番人気のベンチ特製パスタグラタンをオーダー。
味・ボリュームともに文句の付けようがないレベルで大満足。
11月からはカキグラタンが人気のようで、こちらも食してみたいと思いましたが、これはまた来年かな~。
(おわり)
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