【渓流釣り】2021年4月 テンカラ大王にテンカラ釣りを教わった 栃木県日光市・三依見通沢テンカラ講習会

【渓流釣り】2021年4月 テンカラ大王にテンカラ釣りを教わった 栃木県日光市・三依見通沢テンカラ講習会

プロローグ

2021年3月21日、栃木県日光市三依地区を流れる見通沢に、日本初となるテンカラ釣りの専用区間がオープンしました。


そして、オープン記念イベントとして、「テンカラ大王」として名高い石垣尚男先生によるテンカラ講習会を、4月17~18日の2日間にわたって開催するとのこと。

長年にわたって、石垣先生の書籍「科学する毛バリ釣り」(1992年/廣済堂出版)、「テンカラ解体新書」(1997年/週刊釣りサンデー)、「超明快レベルラインテンカラ」(2011年/つり人社)の3冊をバイブルとしてテンカラ釣りに取り組んできた(ただし実釣は年5~6回程度ですが・・・)私にとっては、このイベントはとても魅力的に映りました。

科学する毛バリ釣り


テンカラ解体新書


超明快 レベルラインテンカラ

テンカラ経験年数が私の年齢と同じらしい石垣先生本人から直接教わることが出来るかもしれないこのチャンスを逃すまいと考え、家族の了承を得るというプロセスは今回は後回しにし、事務局あて即メール。

当日は希望者に「テンカラ弁当」(1食1000円)の用意もあるとのことなのでこちらも申込しました。ネーミング的には、アレとアレかな?

三依見通沢テンカラ講習会

定員20名の参加枠に滑り込み、無事に家内の了承も取り付けました。

見通沢は電車でのアクセスも良いため、当初は電車釣行をイメージしていましたが、参加日は生憎の雨予報であったためこれはやむなく断念。

6:00a.m.に車で自宅を出発。東北道→日光宇都宮道路→国道121号(会津西街道)と経由し、3時間ほどで受付場所となっている「古代村」へ到着しました。

三依地区の天気は予報通りの弱い雨。受付で当日の受講料(500円)と日釣り券(1500円)、そして予約したテンカラ弁当の会計を済ませ、レインウェアを着込んでフィールドの見通沢テンカラ専用区へ移動しました。

座学講習編

9:30a.m.頃、区間中に設営された簡易タープの下で、石垣先生のお話が始まりました。

お人柄の良さと頭脳の明晰さが垣間見えるソフトで分かりやすい語り口。たまに駄洒落も織り交ぜ、オーディエンスを飽きさせずに伝えるスキルは流石だなと思いました。

内容については、隠れ石垣信者を自称する私としては、頭の中の知識としてはすでにインプット済みのものが多かったですが、竿の破損を防ぐ正しい扱い方などは最近出来ていなかったので、改めて確認が出来て良かったです。

また、受付の時は気付きませんでしたが、先生自作の毛バリを1000円で販売しているとのことでしたので、買って帰らねば。

因みに自作毛バリの売上金が毎年20万円くらいあるそうですが、その売上金は「ウォーターエイド」という水・衛生分野に特化して活動している国際NGOに全額寄付なさっているそうです。

実釣講習編

私の今日の本命はこちら。石垣先生の釣技を間近に見学できるだけでも価値があります。あわよくば実際に指導していただけるかもしれません。

フィールドに降り立って実釣講習スタート。テンカラ専用区間は全域にわたって近くに林道が沿っており、入退渓は非常に容易です。

まずは石垣先生によるキャスティングのデモンストレーションがありました。

石垣先生によるキャスティングのデモンストレーションの様子

キャスティングについては肝の部分なので、備忘も兼ね、いただいたレジュメからの抜粋を記しておきます。

  • テンカラはキャスティングが50%。狙ったところに、ほぼほぼ毛バリを落とす技術。
  • テンポは2拍子。イィーチ、ニィ(1、2)。 振り幅は12時~10時(2時)の2時間。
  • 上にブッシュがあり、オーバーヘッドで振れないところが多い。サイドキャストの練習を。オーバーヘッドと基本は同じ。

その後、参加者が入渓点から上流と下流に広がり、お待ちかねの実釣スタート。

実釣スタートです

私は上流をチョイス。先頭をガンガン釣り上がり、良さそうなポイントを探っていきます。

見通沢の透明度は非常に高く、深場の川底まで見通すことが出来ました。だから見通沢なのかな?

折からの雨で水温は低く(講習終了後、石垣先生は水温8℃とおっしゃっていました)、渓魚たちは底に定位していました。

私の拙い経験では、テンカラが手も足も出ないシチュエーション。

落ち込みとなっているポイントの底の方に数匹の魚が泳いでいるのが見えたため、毛バリを水面直下に流すものの、渓魚たちは頭上を通過する毛バリに全く反応せず。

底付近に数匹の魚影を確認

ビーズヘッドを装着した沈む毛バリも一応持参していましたが、何故か底深く沈めて釣れた試しがありません。

そこに魚がいるのが分かっているだけに歯がゆい思いをしながら漫然と毛バリを送り込んでいたその時、「魚見えますかぁ~」と石垣先生の声。

ここに最強助っ人降臨です。

石垣先生は私の仕掛けが川のサイズと比較して50㎝ほど長いことを指摘してラインを切り縮め、毛バリをタングステンビーズの沈む毛バリに替えてくださいました。もちろんバーブレス。ネットで見ていた石垣先生の毛バリが自分の仕掛けに装着されることにちょっと感動・・・。

タングステンビーズの石垣毛バリ

しかし、実は私のテンカラの数あるウィークポイントのひとつに、「沈む毛バリを上手く投げられない」というものがあり、今回もやはり初投で毛バリが竿にからんでしまいました。

すると、先生から、跳ね上げから前振りのタイミングをもっと遅くするようアドバイスがありました。

言われたとおりにやってみると、今度は違和感なくきれいに飛ばすことが出来ました。

いきなりウィークポイントのひとつが解消し、やっぱりすごいなと感心していると、続けて毛バリを落ち込み直下に送り込む方法についてのアドバイスをもらいました。

要点は以下の通りです。

  • まず段の上の流れに毛バリを打つ
  • 毛バリが下の段に落ちるタイミングでラインを緩める
  • ラインが下の段の流れにもまれ、吸い込まれていく
  • 2~3秒待って竿を立てると1mくらい沈んでいるので、そこでキープしてアタリを待つ
  • アタリは手にコツッとくる手感になるが、コツッと来た時には遅いので、竿を上下にあおってその時にゴツッと来る向こうアワセ気味のアワセになる

こちらも言われたとおりに実行。すると・・・。

いきなり本当にゴツッというアタリがあり、愛竿のシマノ「渓流テンカラZL3.4-3.8」(石垣先生監修の素晴らしいロッドです)が満月にしなりました。

シマノ 渓流テンカラ 38ZL

扱いがやや難しいレベルラインをスムーズに飛ばすために6:4の胴調子に設計されています。竿のネジレやブレを抑えるシマノ独自の設計・製造方法である「スパイラルX」を採用していて、初心者でも短時間で狙ったポイントにスムーズに毛バリを打ち込めるようになると思います。

想像していなかった状況に一瞬慌てましたが、間違いなく魚がヒットしたことを確信し、魚とのやり取りに集中。

深場から抜き上げる引き味を楽しむ釣趣はエサ釣りのそれに似ています。

表層にいる魚を見て掛ける時の興奮がテンカラの唯一無二の魅力だと思っていましたが、底にいる魚を抜き上げるまでの引き味をも楽しめることを体感し、テンカラに対する認識を新たにしました。

かくして無事に渓魚をタモ網に収めることに成功。手中にしたのは25㎝ほどの身目麗しいヤマメでした。

身目麗しきヤマメ 25㎝

記念に魚体の撮影をしてリリース。この釣果は100%石垣先生のアドバイスの賜物です。

私は嬉しさのあまり石垣先生にも記念のツーショット写真をお願いしてしまいましたが、先生は快く応じて下さいました。

素材の使用については石垣先生ご本人の了承をいただいています

また、図々しくも近くにいた参加者の方に撮影をお願いしてしまいましたが、快くスマホのシャッターを押して下さって本当にありがとうございました!

先生に対する信頼はもはや信仰の域にまで達しそうです。

その後石垣先生は他の参加者の方にも精力的にアドバイスなさっていました。

私はその後、講習のサポートメンバーの方(この方も相当の名手っぽい感じでした)のアドバイスをもいただくという僥倖に浴し、さらにイワナ2匹を追加することに成功しました。

イワナも釣れました

テンカラの沈め釣りの魅力を垣間見てしまい、今後テンカラ沼にどっぷりとハマりそうな予感・・・。

私にとっては夢のような素敵な時間でした。

12:00a.m過ぎに講習会は終了。講習会のスタッフの方に林道から呼ばれて退渓し、車で簡易タープの場所まで運んでもらったのですが、私たちが最後の到着でした。

他の参加者の方は既に「テンカラ弁当」を食べていたので、かなりお待たせしてしまっていたかもしれません・・・。

石垣先生の講評を以って講習会を修了。参加者には「免許皆伝釣」が配布されました。

免許皆伝釣

私も頼んでいた「テンカラ弁当」を受け取り、車の中で賞味。ネーミングの由来は予想通りではありましたが、丁寧な造りの「天ぷら」と「唐揚げ」を満喫しました。とても美味しかったです。

テンカラ弁当

6:00p.mからは「古代村」で石垣先生を囲んでの懇親会も予定されていて、こちらも是非参加したかったのですが、今般の我が家の家庭の事情を鑑みるとこれは流石に断念せざるを得ませんでした。

なお、当日の講習会と後日のテンカラ専用区での実釣の様子を動画にしましたので、お時間あればクリックしてご覧いただければと思います。

(渓の翁・瀬畑雄三氏とテンカラ大王・石垣尚男先生出演の「TENKARA」はテンカラファンにとって一見の価値ありです👇)

エピローグ

解散後、まずは「古代村」で石垣先生の自作毛バリと帽子を購入。毛バリはどうも使うのがもったいなくて記念に取っておきたいような気もしますが・・・。

購入した石垣毛バリ

その後、季節外れかつ雨中のウェットウェーディングスタイルで冷えた体を温めるべく、帰宅の途に就く前に「男鹿の湯」で入浴しました。

「男鹿の湯」の外観

成分は硝酸塩97%だそうで、とてもいいお湯でした。

「男鹿の湯」のシカたち

渓流釣りはやってみたいけどテンカラ専用区はちょっとハードルが高いかなと思われる向きには、近隣の「三依渓流つり場」もおすすめです。我が家も2人の子が幼少のころはよくお世話になりました。炭火でじっくり焼いた渓流魚の塩焼きは絶品です。
三依渓流つり場●初心者向け|渓流釣り●イワナ・ヤマメ・マスからお選びいただき放流します♪ *ファミリー・女性・カップルにおすすめ*

ところで、本講習会の参加は、家内の了承は取り付けたものの、子供への説明機会がなかったため、帰宅時の子供のリアクションが不安材料でした。

子供の理解を得る(ご機嫌を取る)ため、「道の駅 湯西川」に立ち寄り、子供の好物であることをリサーチ済みの「日光カステラ」を購入。

道の駅 湯西川

帰宅すると、予想通り下の子がとても不機嫌でしたが、「日光カステラ」はお気に召したらしく態度を軟化。

テンカラの沈め釣りと共にお土産スイーツの威力を確認した示唆に富んだ1日でした。

(おわり)