【渓流釣り】2022年5月 群馬県上野村 川を予約してのんびりテンカラ釣り
プロローグ
風薫る5月、いよいよテンカラ釣りシーズン本番です。
今年のGWは曜日の配列が良いうえに3年ぶりに行動制限なしとあって、観光地は大いに賑わっているようです。
おそらく川も例外ではなく、魚よりも人のほうが多いのではないかという状況が予想されます。
いろいろと頑張りが利かない年齢になってきましたので、場所取り競争に参戦する気力が湧いてきません。
そこで、自然渓流でありながら釣り場を予約出来る、群馬県上野村漁業協同組合の「中ノ沢毛ばり釣り専用区」を利用することに。
今回同行するナカガワさんと私の名前で、最上流のA区間と、最下流のFG区間の2区間を事前に電話予約。予約受付は10日前からのようです。
当日は例によって、アウトドアで汚すのは少々憚られるナカガワさんの高級車で現地へ。
車中ではいつものように釣果についてとらぬ狸の皮算用。魚がいるのは間違いないので、お互いに最低二桁は堅いとの認識で一致しました。
中ノ沢毛ばり釣り専用区
「川の駅上野」で受付を済ませ、車で中ノ沢毛ばり釣り専用区へ移動。
中ノ沢毛ばり釣り専用区は以下のように区画されています。
- A(最上流部)
- BC
- DE
- FG(最下流部)
2名での釣行の場合、1回の電話で2名分の予約が可能です。
私たちは最上流部のAエリアと最下流部のFGエリアを予約していましたので、まずは予約したAエリア→FGエリアの順番で竿を出し、昼休憩ののち、エリア内フリー(ただし釣り上がりのみ)となる13:00から残りのエリアを探るプランとしました。
現在、途中から車は通行止めとなるとのことなので、管理棟脇の駐車スペースに車を止め、徒歩で上流を目指します。
Aエリア
中ノ沢第二ダムより上流がAエリアです。
道路沿いの沢には階段が設置されていて、アクセスは非常に容易です。
こんなに楽な沢釣りはなかなかありません。
予約制という素晴らしいシステムに大感謝しつつ、手早く準備を整えてテンカラ釣りスタート。
透明度の高い清冽な流れと翡翠色の水を湛える美しい淵の景観を楽しみながら、高揚した気分で竿を振ります。
程なくしてナカガワさんにヒット!
様子を見に行くと、良型の元気なイワナが釣り上げられていました。
これは期待出来るぞと思いましたが…。
この日の私はちょっと今までの記憶にないキャスティングの大乱調で、毛ばりを木に引っ掛けまくり、ロストのオンパレード。
ストライクの入らないピッチャーはこんな心境なのだろうかと思いつつ、精神的に疲労していきました。
そのせいかどうかは分かりませんが、魚のアタリを感じることもなく、徒に時が過ぎていきます。
そんな私を嘲笑うかのように、ナカガワさんは快調に数を重ねているようです。
最近こんな状況となることが多いのは多分彼我の実力差なのでしょうが、それを認めたくない私は、ナカガワさんにどのようなイメージで釣っているのかをヒアリングしました。すると…、
彼はちょっと驚きの回答を口にしました。
エサ釣りと全く同じ感覚でフィードポイントのやや上流から水面直下に毛ばりを流し、ここで食うはずだとイメージしたフィードポイントに到達したとき、アタリがあろうがなかろうがとにかくアワセるとのことでした。
もっと言えば、アタリがあってアワセたという感覚はほぼないとのこと。
つまり、脳内でイメージしたとおりに現実の魚が毛ばりを追っていて、それを掛けているということのようなのです。
そういえば、古の職漁師さんが、昔はイワナがイチ・ニ・サンのタイミングでいくらでも釣れたと語っていたのを雑誌か何かで読んだ記憶がありますが、それはあくまで古き良き時代の魚影の濃かった川での話であり、現代のハイプレッシャー河川においてそんな釣り方が通用するはずがないと思ったのが正直なところ。
しかし、この時点で既に釣果は0対7と圧倒的に差を付けられているというのは厳然たる事実です。
何だか達人か仙人が究極奥義について語っているかのような話に呆気にとられるも、ある程度は認めざるを得ません。
まあ、今日の私にはツキもないのだろうと気を取り直し、最下流部のFGエリアでの捲土重来を期すべく、途中にあった神社「神明宮」を参拝。
急角度の石段を必死に登っての大漁祈願です。
参拝を終えて戻ってくると、上機嫌のナカガワさんは「これに懲りて釣りを嫌いにならないでくれよ~!」とニヤニヤしていました・・・。
FGエリア
自分の長所は素直なところだと思っています。
先ほどナカガワさんから聞いた眉唾ものの釣法を真似ることを決意し、ポイント目掛けて毛ばりをキャスト。
フィードポイント到達後、毛ばりをピックアップするため強めに竿をあおってみると…
手元に重みが伝わり、一直線に張られたレベルラインの向こうの水面で水飛沫が上がっています!
アタリは認識していませんでしたが、本当に掛かりました!
小ぶりな魚体のためあっという間に寄せて難なくキャッチ。綺麗なヤマメです。
にわかには信じがたいし、釣趣に富んでいるのかと言われるとやや疑問もありますが、純粋に「魚を釣る」という目的のためには、この釣法はなかなかに有効であるようです。
思えば、今でこそスポーツフィッシングの一ジャンルとしての地位を確立しつつあるテンカラですが、私が幼少の頃(40年くらい前)の川釣りのハウツー本では、テンカラはまさに達人の秘技であるかのような難しい釣りとして紹介されていました。
(当日の釣行の様子を動画にしていますのでよろしければご覧ください👇)
エピローグ
その後、私は神秘のナカガワ釣法を真似て2匹を追加し、合計3匹でフィニッシュ。
しかし、本家本元はその間に9匹を釣り上げ、最終スコアは3対16と圧倒されました。
齢を重ね競争心はだいぶ薄れているはずなのですが、同じような道具を用いてこの大差はさすがに少し悔しい・・・。
と同時に、道具の進化により比較的簡単な釣りとしての側面がクローズアップされているテンカラが、一方では未だに常識では理解しがたい釣法が有効であるなどの神秘的な側面をも内包しており、この釣りの奥深さを再認識した次第。
これからはドラテン(ドライフライテンカラ)も面白い季節になってくるので、次こそは、様々な釣法を駆使して一矢報いたいと思いました。
(おわり)