【渓流釣り】2020年7月 大人の遠足 新潟・清津川でテンカラ釣り
プロローグ
国内における新型コロナウイルスの収束が全く見通せない中、政府が観光復興を目的としたGo To Travelキャンペーンをスタートさせました。
世論では状況を鑑みて延期という声も多くありましたが、政府は東京都のみを除外してまで見切り発車するという選択をしました。
私は政治についてはよくわかりませんが、利害相反する中での難しい選択だったのでしょう。
施策の是非に関する意見は立場によって異なるのは当然だと思います。感染抑止を第一に考え人の移動を制限すべしという声もあり、新しい生活様式により感染抑止と通常の経済活動を両立すべしとの声もあり・・・。
国民の行動に関し、緊急事態宣言発出時のようなリーダーからの統一されたメッセージがないいま、私は個人の責任で判断し行動するより他はないのかなという気がしています。
今般、Go Toを利用しない日帰り釣行1つをとっても開催の是非に頭を悩ますところではありますが、総合的に判断し、中学時代の友人サクラダさん、ナカガワさんと今シーズン初となる大人の遠足を決行する運びとなりました。
今回のフィールドは、新潟県湯沢町を流れる清津川の上流部です。
管轄は魚沼漁業協同組合で、日釣り券は2150円。少し下流にある清津峡と呼ばれるエリアあたりで管轄漁協が中魚沼漁業協同組合に変わるようなので注意が必要です。
今年は近年稀に見る長梅雨で当日の釣行も天候が心配されましたが、道中は所により小雨がぱらつく程度でした。
現地付近では雲間から時折青空が顔を覗かせており、日中は何とか持ち堪えそうな気配でまずは一安心。
数ヶ月の自粛の後、感染予防に気を遣いながらではありますが仲間と共に釣行出来る喜びを噛み締めつつ、車中では本日得られるであろうと期待される良果についての話が弾みます。
清津川支流 カッサ川
AM9:00過ぎに最初の目的地である「貝掛温泉」付近に到着。
「日本秘湯を守る会」に加入するその湯宿の佇まいは、どこかさっぱりとした簡素な美しさを湛えています。
戦国の将上杉謙信が関東攻めのゆきかえりに将兵ともども旅の疲れを癒やしたと云われ、また江戸時代からは「目の温泉」として遠路より多くの人が訪れるとのこと。
ちなみに今回の私たちは宿泊客ではありませんが、いつか泊まってみたいと思わせる風情です。
「目の温泉 奥湯沢 貝掛温泉」宿泊のご予約はこちらから宿の脇を流れる清津川支流のカッサ川に入渓。
駐車場付近からアクセスし、堰堤までの短い距離を探ります。
私はいつも通り自作の毛バリを用いたテンカラで、友人2人はエサ釣りです。
8mの長竿で大物を狙うサクラダさんのエサはブドウ虫。一方ナカガワさんは家庭の生ごみ処理のために最近導入したというミミズコンポストのシマミミズを用いるようです。
潤いある大気に育まれた濃緑の木々の隙間から蜩の奏でるノスタルジックな音楽が響き、旅情はこの上なく高まります。
好ポイントが連なるカッサ川で思い思いに竿を振るいますが、ここでは3人とも渓流魚からの魚信は得られず。
川のすぐ脇に堰堤までの道が整備されていて、仰ぎ見ると浴衣姿の女性が何か珍しいものを観るように私達を見物していました・・・。
この後、清津川とカッサ川の出合付近に移動して竿を出しますが、ここでもアタリなし。
二居川
続いて奥清津発電所OKKY(オッキー)ミュージアム付近のポイントを攻める算段でしたが、新型コロナウイルスの影響によりミュージアムは閉館中で駐車場の利用が出来ませんでした。
駐車場から望む二居ダム下はターコイズブルーの水を湛え、神秘的な趣を醸し出していました。
駐車場の利用不可を伝えに来た警備員さんから教えて頂いた二居川のポイントに移動することに。
奥清津橋付近から川岸までの道が付いており入渓は非常に楽です。
結果的にはこの二居川が今日の当たりポイントでした。
まずナカガワさんの6mの竿が弓のように撓り、体長は20㎝超ながら体高のある見栄えの良いヤマメが上がってきました。
次いで、少し上流のポイントで私が投じた自作毛バリ「バーコードステルスもどき」目掛けて渓流魚が躍りかかってきました。
やや強めのアワセを入れると、15㎝程の小型のイワナが畑の大根のように抜き上げられ、あっと言う間に私の手中に。
扱いがやや難しいレベルラインをスムーズに飛ばすために6:4の胴調子に設計されています。竿のネジレやブレを抑えるシマノ独自の設計・製造方法である「スパイラルX」を採用していて、初心者でも短時間で狙ったポイントにスムーズに毛バリを打ち込めるようになると思います。
このエリアはイワナとヤマメの混生のようです。
サクラダさんはタックルとフィールドのアンマッチに手こずっていました。
気が付くと12時を回っておりここで昼食タイムに。
昼食はサクラダさんに用意して頂いたカップラーメンです。コッフェルに湯を沸かしてもらい、カップにお湯を注いで3分待って出来上がり。
7月とはいえ水際では体が冷える状況で、暖かい食べ物が体に沁みます。
ただのカップラーメンは極上のご馳走でした。
エピローグ
川の遡行で体力を消耗した中年3人組は、その後サイズアップと体力温存を目論み市街地に程近い清津川のエリアに移動。大場所を拾い釣りする作戦に出ました。
ここではナカガワさんが見目麗しいヤマメ2尾を追加。家庭の生ごみを堆肥に変えるエコなシマミミズは渓流魚にとってきっと美味なのでしょう。
先日福島県の田子倉湖でサクラマスを仕留めたサクラダさんはこの日は大苦戦で、一縷の望みを託して最後に訪れた毛渡沢下流砂防堰堤(魚野川)の上流で数尾の極小のアブラハヤを掛けたのみに終わり、精根尽き果てた感を漂わせていました。
私も二居川で掛けたイワナ1尾に終わりましたが、釣技の未熟を自覚している私は大体いつもこんな感じなのでまずまず満足です。
17時前。毛渡沢の堰堤付近ではついに雨が本降りとなってきました。今日は日没までやる意気込みでしたが、その意欲を削ぐほどの雨脚の強さに負け、予定を早めて納竿としました。
結果として良果には恵まれませんでしたが、久し振りに実現した仲間との釣行はやはり楽しいものだなと感じました。
(おわり)