【幕営釣行】2025年9月 山上の楽園 奥只見S沢釣行

【幕営釣行】2025年9月 山上の楽園 奥只見S沢釣行

【プロローグ】

通算4回目の幕営釣行です。

前回の釣行は登山道から沢へのアクセスがネックと感じられたため、今回は林道のすぐ近くを流れる川という条件でフィールドを選択。

結果、釣果の報告も豊富な新潟県奥只見湖エリアのS沢に決定しました。

当該エリアは夏にはアブに悩まされることはよく知られていましたが、さすがに9月も中旬となればグッと気温も下がり、その心配はないだろうとの判断でした。

また、前回までの経験から、今回ザックを新調して臨みました。

2~3回目の山行で使用した秀山荘のザック(某フリマサイトで購入)は、軽いのですが、30年以上前のモデルであるためか、背負った時の荷重が肩に掛かって背負い辛かったことから、また買い換えを決意しました。

今回はmont-bellのアルパインパック60を買うと決め、最寄りの店舗を訪問。

店員さんにフィッティングしてもらったところ、とても良い背負い心地です。

やはり最新のザックは性能がいいなと思いましたが、店員さんの説明を聞いて、背負い心地に関してはどうやら勘違いであることに気が付きました。

肩荷重にならないように背負うためには、ザックを心持ち背中の上部に持って行き、腰ベルトをきちんと締めてから肩を締めると良いとのこと。

何のことはありません。今まで肩荷重で背負い辛かったのは、自分がザックの背負い方を間違っていただけだったことに気が付きました。

恐らくこれは基本中の基本なのでしょうが、そんなことも知らずに過酷な山行で不必要に辛い思いをしていたとは我ながら呆れてしまいます。

と言うことは、別にザックを新調する必要はないということになるのですが、買うと言った手前引っ込みが付かず、そのままお買い上げ。

まあ、子供のたちもそのうち使うようになるかもしれないし、2つあってもいいよねと無理矢理納得するしかありませんでした。

しかし、使用後の感想としては、購入したニューザックは内装自体が防水機能を備えていることから、防水袋の使用を省いて軽量化出来たり、トップリッドを取り外して単独でアタックザックとして使用出来るなど随所に優れた機能を備えており、結果的には買って良かったなと思っています。

写真はmont-bell アルパインパック60
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【1日目】

私は自宅から20㎏弱のザックを背負って電車を乗り継ぎ、7:00頃ナカガワさんの最寄り駅へ到着。

そこから2時間半ほどのドライブで現地に着きました。

当日の現地は、今年の平野部の異常な酷暑との比較ではかなり涼しいとは言えるものの、9月中旬としては蒸し暑いと感じられました。

これは虫の活性に一抹の不安を覚えます・・・。

一方、林道はよく整備され、遡行には何の障害もありません。

2時間ほど歩き、テン場予定地に到着。

そこは過去に利用されていたと思われ、整地はほぼ不要でした。

タープとツェルトの設営を終え、ナカガワさんの持参した行動食で腹ごしらえ。

安全重視で林の中に幕営

mont-bellから発売されている「サーモンチーズリゾッタ」は手軽なうえにかなり美味です。

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しかし、今回はそれをゆっくりと味わういとまを与えてはもらえませんでした。

当たってほしくなかった予想はズバリ的中してしまったようで、盛んにアブが纏わり付いてきました。

その数は実に数十、あるいは百に届くかという状況で、その執拗な攻撃はもはや凶虫と呼びたくなるレベル。

これは堪らんとタープ下のリビングスペースの複数箇所に蚊取り線香を設置し、何とか防御。

寛ぎの場のはずのリビングスペースは戦場さながらに煙っていました。

てんやわんやの昼食を終えた後、林道に繰り出して今夜の焚き火用の薪を集めてタープ下へ格納。

苦難を乗り越えようやく一連のルーティーンを終え、いよいよ食料調達=釣りという最後の楽しい大仕事です。

幕営釣行では、自分はテンカラ釣り師であるという、あるかなきかの僅かなプライドを完全に捨てることにしています。

今回も確実に獲物を狩ることを優先してブドウ虫を持参し、エサ釣りを敢行。

首尾良く刺身サイズから塩焼きサイズまで4尾を手中にし、ほっと一息。

しかし、平坦で透明度の高い開豁なS沢の渓相は見るからにテンカラ向きで、ナカガワさんはテンカラでトライし、良型を3尾手中に収めていました。

今日はエサ釣りとテンカラ釣りにあまり差の見られない日並みでした。…というより、腕なのか?

釣果は7尾

途中、林道でミズのムカゴを採取しつつ16:30頃テン場に戻りました。

調理場とリビングスペースには焚き火が不可欠であるため、解放的な河原を利用するのですが、今回はこれがテン場の対岸になってしまいました。

水深はごく浅いものの、足を濡らすとなるとテン場用の靴も濡れてしまい、テン場での生活が不快になるため、リラックスウェアには着替えず、戦闘服(行動服)のまま過ごすことに。

火起こしは、着火剤にエスビットを用い、然したる苦労もなく終了。


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調理は、私がイワナ寿司およびキモ和えと塩焼きを担当し、ナカガワさんは炊飯とタマネギのホイル焼き(イワナ入り)、ミズのムカゴのお浸しを担当。

ミズのムカゴのおひたし
タマネギのホイル焼き(イワナ入り)
イワナ寿司

過去の幕営釣行を経て調理の分業についてはかなり練度が上がり、手際良く料理が完成していきます。

豪華な山の幸料理が食卓に並びました。

お味の方は言うまでもありません。これ以上の幸せがあろうかと思うほどの美味しさでした。

そして、私たちの渓の宴にはお酒が不可欠。

宿代がかからない代わりに少しお値段の張るお酒を用意しました。

今回はナカガワさんに用意してもらった賀茂錦(新潟)、秩父錦(埼玉)と、私が用意した今錦(長野)の3つの錦を飲み比べ。

それぞれに異なった特徴がありましたが、どれも味わいは格別でした。

イワナが焼き上がるのを待ちつつ、杯を重ねます

今回、源流泊を始めた当初に夢見た極上の酒宴にかなり近付くことが出来、大満足です。

見上げると天空には無数の星が瞬いており、時折現れる流星に明日の豊漁を祈願するのでした。

【2日目】

今日は土曜日なので、多くの釣り人の入渓が予想されました。

計画では今日もS沢を出合から釣り上がる予定でしたが、6:30頃に出合に到着すると、林道で釣りの準備をしているご家族3人に遭遇。

自分たちと同世代と思われるお父さんと、20歳代前半と思しき息子さんと娘さんでした。

お子さんたちは新品と思われるヘルメットをきちんと被り、服装も真新しい印象。この山行を楽しみに入念な準備をしてきたのでしょう。

これは昨日楽しい思いをした自分たちは譲るべきと考え、計画を変更、私たちは本流筋を釣り上がりつつ、N沢を目指すことにしました。

ただ、男性はともかくとして、恐らく自分で強く望んだわけでもなく連れてこられた若い女性があの凶虫の猛攻に耐えられるのだろうかという余計な心配はしてしまいましたが・・・。

まあそれはそれとして、昨日のナカガワさんの様子を見てテンカラでも十分勝負になると判断した私は、今日はテンカラ1本で攻めることにしました。

一方、ナカガワさんは昨日の私の様子を見てエサに分があると思ったらしく、エサ釣りをやるとのこと。

昨日と正反対の状況になりましたが、果たして釣果は如何に…。

S沢出合付近の本流では予想外のウグイとご対面。

その後、本流を釣り上がって行くと、エサのナカガワさんはコンスタントに釣果をあげていくも私の毛鉤への反応は芳しくありませんでした(ちなみにここまでの釣果は9対2、小物はリリースです)。

意外にも本流筋のイワナのサイズが今ひとつだったため、林道に上がって一気にN沢へアクセス。

出合付近でまたも凶虫アブの猛攻に耐えながら昼食を摂り終えると、時計は13時を回っていました。

テン場まで1時間ほどかかるので、これを本日のラストバウトとします。

食材(イワナ)の数は揃っていますが、二人分の胃袋を満たすイワナ寿司のネタになるような刺身サイズがありませんでした。

出合からN沢を少し上がると、如何にも良型が潜んでいそうな落ち込みがありました。

自分が竿を出したい気持ちは大いにありましたが、ここはどう見てもエサ釣りに分があると思われたため、雲散霧消しつつあったイワナ寿司のネタ調達への最後の期待をナカガワさんに託すことに。

果たして、その判断は奏功しました。

ポイントにエサを送り込むと、すぐに竿が満月に撓りました。かなりの大物が掛かったようです。

奇跡とは意外と頻繁に起こるようだと変に感心しつつ、硬調の竿でも抜き上げられない大物が水面下で暴れ回る様をしばし見つめます。

ナカガワさんは慎重なやり取りで相手の抵抗を無力化し、ランディングネットを持って待ち構える私の目前へ獲物を誘導、無事キャッチすることが出来ました。

ネットの中では、目視だけで尺越えとわかる大物がその巨大をくねらせていました。

予想と結果が一致し、望むべき成果を得た私たちは年甲斐も無く大興奮。まるでメジャーリーグでワールドシリーズ制覇を成し遂げたかのようなハイタッチで祝福し合うのでした。

(当日の釣行の様子を動画にしていますのでよろしければご覧ください👇)

【エピローグ】

おかげさまで2日目も豪華な渓の宴を堪能することが出来ました。

しかし、楽しかったのはここまで。

夜半に降り出した雨が思いのほか強く、またテン場の地形にやや傾斜があったのか、私の寝ていたマットの下とグラウンドシートの間に雨水が浸入していました。

私は就寝用にシュラフカバーを持参していたものの、蒸し暑いのでそれは使わず、ダウンジャケットと厚手のズボン・靴下という服装にモスキートネットを頭から被ってマットの上で眠っていました。

動きをカバーに制限されないため寝返りを打ったところ、マットをはみ出した膝の部分が一瞬でびしょ濡れに。

まだ夜中の2時を回ったところでしたが、不快感で眠気は一気に吹き飛びました。

そして、ヘッドライトを点けて周りを点検し、全てを悟ることに。

大自然からの水攻めに陸の孤島と化したマットの上で小さくなりながら、ひたすら夜明けを待つのでした。

ナカガワさんのツェルト内も同様の状況だったらしく、野営の厳しさの一端をきっちりと体験。

さらに、下山後の温泉で裸になると、鏡には両太腿の裏に優に50は超えているであろうアブの刺し痕が・・・。

幕営中にはそれほど意識していなかった痒みを脳が一気に認識し、患部を掻き壊して何カ所か出血してしまいました。

帰宅後に市販の抗生剤(リンデロン)を塗りたくって何とか回復しましたが、実に辛かった・・・。

幕営釣行の光と影を十二分に味わい、来シーズンは地球温暖化をも踏まえたよりシビアな釣行計画の立案を行うことを心に誓うのでした。

(おわり)